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7.送りモータ駆動とインバータ化 2007.05.22

先の自動かんな盤による逆目掘れ対策の3.です。
昨日、送りモータ専用のインバータを発注しました。納期は35日ということで、次回帰国までには十分間に合います。

 

Motor仕様
イメージ 1
芝浦電機(今の東芝です)
3相誘導電動機 0.75kW
200/200V 50/60Hz 3.8/3.4A

 

発注したインバータ(下図はバンドソーに使用している1.5kW用ですが実際には0.75kW用です)

Yaskawa
0.75kW
用 VSminiJ7シリーズ
CIMR-J7AAB0P7
入力単相200V、出力:三相5A

 

イメージ 2ここで、汎用モータ(上記がそうです)をインバータ化する場合の注意点を説明します。

 

インバータの選定は、kWではなく実際のモータに流れる電流で決めます。この場合モータの定格電流は3.4A60Hz200Vの場合)のため、これを 超えるインバータが必要です。また若干増える場合があるので、余裕も必要です。今回の選定インバータは5Aですので問題ありません。ただし、これはモータ の定格電流で選定した場合で、実際には実負荷電流で選定した方が経済的です。つまり、実負荷電流は必ず定格電流より低いですから。

 

インバータで駆動する場合、一般には電圧と周波数を比例させるV/f制御を使用しますので、ほぼ同じ電流で速度を可変することができます。つまり、モータの特性は定トルク特性で使用することができます。

 

ここで、重要なことは、定トルクということは、モータの熱の発生が同じということです。つまり、モータの回転数が下がると、モータのシャフトについてる冷却用の羽の回転数が下がり、結局冷却風量が減ることになり、モータはオーバヒートします。

 

これの対策はモータを低速でも熱に耐えられるタイプに変更する必要がありますが、一般的に寸法が大きくなり物理的に無理だと思いますので、速度と熱を監視 しながら試運転をすることにし、どの程度の速度まで使用できるかの検証が必要です。時間との兼ね合いですのでその考慮も加味します。

 

 

−以下皆様からのコメント−

 

以前何かで聞いた事があるようですが、直接関係が無い為

聞き流していました。

2007/5/22() 午後 6:15 kokoakio

 

雄さん、専門ですから難しいですよね。

2007/5/22() 午後 7:47 [ toshim11 ]

 

 

 

8.モータインバータ化検証 2007.08.17

 

いやー、本当に暑いですね。工房の中も何度か知りませんが、汗がぼとぼと落ちてきます。製品を扱っている時ならやばいです。何もする気になら無いくらい暑いです。
イメージ 1でも、一応予定していたインバータ化を何とかやりました。

 

材料によってはどうしても逆目掘れが取れないため、送りモータを専用インバータ化し、速度を超低速で送る、という改造です。

 

1.これが現在の配線

 一本は、電源です。それが、スイッチボックスに入り、2本の出力線が一本はかんな刃の主軸モータ、もう一本が送りモータ用です。この送りモータ用の線を切り、

 

2.ここへ外部からインバータを接続します。
イメージ 2
インバータは、安川製で、容量は0.75kW用。入力単相200V、出力三相200Vです。
制御は単純V/fコントロールで、最高出力は50Hzとしました。現在の最高周波数と同じです。九州は60Hzですが、少しでも騒音を下げようと、50Hzに設定しています。

 

3.これが改造前。送り速度は、約7m/min。見てお分かりでしょう、ものすごい逆目掘れです。
イメージ 3

 

 

 

 

 

 

 

 

イメージ 44.送りを1/5(周波数を10Hz)にしました。

劇的な変化です。ほぼ逆目掘れはなくなっています。600mmくらいの長さですが、小さく2ヶ所かけていました。

 

 

 

 

5.今度は送り速度を1/10(周波数でイメージ 5Hz)にしました。送り速度で約0.7m/minです。

全く逆目掘れはありません。パーフェクトです。すごい、こんなに効果があるとは思っていませんでした。これなら全く問題なく使えます。嬉しいです。

 

 

 

−以下皆様からのコメント−

 

改善成功おめでとうございます。改善効果は大きいですね。リスト2件目抹消で順調な滑り出しですね。草取りは暑い中お疲れ様でした。私の分残さなくてよかったのに(笑)。

2007/8/17() 午後 6:55 isuakira

 

暑い中ご苦労様です。がんばったかいがあって良かったですね。

改造前とは雲泥の違いですね。

全くの未知の分野ですがこんなのがあるといろんな木が使えそうで良いなあとは思います。

動画が前よりきれいになったように思いますが。

2007/8/17() 午後 7:03 [ hrv*0*4jp ]

 

ども、isuakiraさん。やりました。ほぼ完璧です。やった甲斐がありました。草取りは今の時期は無理です。暑くて暑くて、冷房の効いたところで寝転んでいたい気分です。

2007/8/17() 午後 7:28 [ toshim11 ]

 

はい、hrvさん、ありがとうございます。

動画は私は何もしていないので、その時の通信状態がいいのでしょう。

2007/8/17() 午後 7:30 [ toshim11 ]

 

すごいですね〜

超低速にするとあんなにきれいに。。。

これで、銘木も怖くない!ですね〜

2007/8/17() 午後 7:30 [ しぶや木工塾 ]

 

こんなに効果があるとは思っていませんでした。shibuyamokkoさん。確かに、変な杢が入っていても平気です。実は、このハードメープル、平面に見えないでしょうが、面は平面です。杢が入っているんです。大きな波と部分的に縮が見え隠れしているでしょ。

2007/8/17() 午後 7:35 [ toshim11 ]

 

うちの自動鉋盤は標準で送りを0から無段階で変速できるようになっていますが、その前に使っていた機械との違いにやはり驚きました(十数年前の話ですが)。しかし松本さんが改良された例でもお分かりのように、これだけ効果があるわけですから、すくなくとも業務用の本格的な自動鉋盤であればすべてにそういう機能が標準で備わっていてしかるべきですね。新品の尺5寸なら150万前後はする高価な機械ですからね。逆に、現実にはどうしてそうなっていないのか不思議に思います。

2007/8/17() 午後 9:57 [ 木工房オーツー:大江進 ]

 

本当ですね。大江さんが以前話にされていた、標準でついているといわれた時、ええっ、そんな機械があるのか、と逆に思ったほどで、十数年前より古い機械がまだまだ世の中に存在していると言うことでしょうか。以前の大江さんのコメントでは、速度を落とすのと同時に機械の調整も行った旨のことが書かれていたので、これは難しいかなと、思ってはいましたが、速度を落とすことだけで簡単にできちゃいました。全てのプロの方が知っているとは思えませんので、プロでお仕事をされている方には、朗報でしょうね。確か、シンプルさんも手押しで片面だけは綺麗にするとおっしゃってましたから。

とにかく出てきた面を見た瞬間に感動しました。

2007/8/17() 午後 11:19 [ toshim11 ]

 

木工機械だと送りモーターは別なんですね。私のはモーター1個しかないです。送りスピードは2段階になっているんですが、遅い方でも6m/分のようです。これを変えるためにはローラーに付いているギヤ変更しか方法は無いです(^_^;)

2007/8/18() 午後 3:05 [ た〜じぃ ]

 

たーじぃさん、機械的な速度変更は私には無理です。でも、折角切り替えがついているのに、もうちょっと広範囲にしてくれてもいいのにね。

2007/8/19() 午前 7:20 [ toshim11 ]

 

木工機械や電動工具はユーザーからすると「ここはこうなっていると使いやすいのに」と思うことが多々あります。それも製造コスト的にはたいしたアップなしに(たぶん)です。メーカーはもっと徹底的にユーザー・現場の声を直接きいたほうがいい。営業マンを通じてみたいなやりかたではなく、設計製造の責任者が直接にです。

2007/8/19() 午前 7:38 [ 木工房オーツー:大江進 ]

 

おはようございます、大江さん。

確かに使っていてそういう部分はありますね。メーカとしても聞く耳を持っていないということではないと思いますが、製品として旧態依然を貫いていますね。その点電化製品はマーケッティングで商品企画をきっちり作りこんでいるのでしょう。

2007/8/19() 午前 9:07 [ toshim11 ]

 

 

 

 

逆目掘れUSA)  2009.08.10

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Rev.1 2009.08.11

 

出張でバタバタしてました。日本は台風で大変なようですが、お気を付け下さい。

 

かんな盤の逆目掘れの話です。
イメージ 1

 

ここでも何度か紹介しましたが、手押しの場合は材料をゆっくり送ることにより、ある程度の逆目掘れを防ぐことができます。でも杢が入ったものや樹種(特にハードメープル等)によっては厳しいかもしれませんね。

 

雑誌WOODによれば、ドラムサンダを使うことが100%の対策とありますが、私に言わせればとんでも無いことですね。確かに逆目は出ませんが、プレーナやジョインタの代わりには到底なら無いと思っています。当然切削量とサンドの番手の大きさでの材料への傷の兼ね合いですが、一度付いた傷はなかなか落ちるものではありません。仕上げ寸法に仕上げる意味での、プレーナとしてのドラムサンダは、一回最大でも0.3mm位と言われているようですが、0.3mmでもかなり大きな筋が付きますので、極端な話0.05mm位でやろうとすると、何回も通さねばならず実用的ではありません。

 

自動かんな盤での逆目掘れ対策は、手押しと同じく送り速度を極端に遅くすることです。日本の木工機械の自動鉋盤にはこの機能が付いたものもありますが、モータを別置きし、インバータで超低速を実現すれば可能です。また、逆目掘れの少ないプレーナを使用する手もありますが、最初からわかっていれば可能ですが、どれが良いやら難しいですね。

 

逆目掘れの少ないプレーナとは、カットピッチが小さいことです。小さければ小さいほど逆目掘れが起こりにくいし、切削面も非常に綺麗になります。理想は0.07mm以下ですが0.1mm以下であれば何とかなると思います(私の経験上)。
以前のエトリ
です。

イメージ 3

手押しの場合は送り速度を下げる他に、スパイラルカッター刃を用いると言うのも、あるいは切れ味の良い刃を用いるというのも手です。実際の画像をご覧下さい。

こんなに違うのかと思いますが、上の場合はどんな刃なんでしょうね(笑)
スパイラルも効果があると思います。
スパイラルカッター刃には2種類あり、一本ものになっているものや、チップで交換できるようになっているものがあります。

イメージ 2


たーじぃさんはもうこのチップに代えたのかな?
チップ型は切れ味は二の次、逆目掘れを起こしにくい言う目的、あるいはチップは4辺あるので4倍長持ちする耐久性、チップ(刃)の交換の容易性が目的で使った方がよいです。逆目掘れがおきた材料を手鉋で修正しようとするのは非常に厳しいものがあります。それより、チップでそれなりに削れれば手鉋で仕上げをやることは可能ですものね。Rev.1

 

プレーナのスパイラルカッター刃は見たことがありませんが、あればいいのにね。

コメント(10

顔アイコン

旋盤でも 逆目の場合バイトを斜めに使うと良いとか
この部分だけスパイラルに替えられるのかな・・・ 

2009/8/10() 午後 6:10 [kob-yuu] 

 

 

プレーナのスパイラルカッター刃のものはリブロスで売ってますよ。私は買う気はしませんが・・・

あっ、それから私がスパイラルカッターを使う何よりの目的は刃の耐久性です。まあ、交換とかも楽というのもありますから、それら全体の扱いが良いということですね。 

2009/8/10() 午後 8:15 [た〜じぃ]

 

 

なるほど、先日お聞きした電気カンナの場合も同じようにやれそうです。 

2009/8/10() 午後 8:47 [Pond Paddy]

 

 

雄さん、なるほど、同じ理屈ですね。 

2009/8/11() 午前 9:10 [ toshim ]

 

 

たーじぃさん、見てきました、。本当ですね。Spokeshave はスパイラル、SteelCityははじめてみました、ヘリカルとか言う機種、あるんですね。

>
それから私がスパイラルカッターを使う何よりの目的は刃の耐久性です。
いや、そのつもりで書いたんですが、文章は取替え容易だけでしたね。書き換えておきます。 

2009/8/11() 午前 9:12 [ toshim ] 

 

 

炭焼きの倅さん、はい、十分気をつけてやってください。 

2009/8/11() 午前 9:12 [ toshim ]

 

 

こんにちは 
私も手押し鉋を購入した時は、感動したぐらい綺麗な切削面でしたが・・・手鉋で仕上げてみると意外と平面ではないんですよね。
平面になるまでは結構鉋がけが必要です。
そう考えると、私はコストや交換、研磨の手間暇画家からないスパイラルが欲しいです。
まぁ、使ってみないと何とも言えませんが・・・高くて手が出ません^^;
現在使用の刃が駄目になったら考えようと思っています。
せっかく研磨して、やっとの思いで基準出し調整をして取り付けた刃が一発で刃こぼれした日にはショックが大きいでしょう^^;
そのたび出費もありますので節約木工にはつらいところですね・・・

手押しは自動鉋に比べ比較的刃こぼれのリスクが高い?と思いますので今後スパイラルは取り入れたい物です。

切削仕上がりが悪い分には削ればいいですが、逆目掘れしてしまっては修正するには板厚保が薄くなってしまったり時間もかかりますから難しいところもありますよね。

広葉樹は当分使えませんが・・・(笑) 

2009/8/11() 午前 9:30 [ tan**a_w*rkshop ] 

 

 

田中さん、言われる通りだと思います。
せめて手押しにはスパイラル(チップ刃)が欲しいですね。

>
広葉樹は当分使えませんが・・・(笑)
いえいえ、あれだけ熱心ですから、やれば十分できると思いますが。 

2009/8/11() 午前 10:01 [ toshim ]

 

 

久しぶりに拝見しました一年ぶりでしょうか、逆目を止めるのは難しいですが対策として有効なのは、刃物の切れとカンナ銅(ブロック)の押さえを効かせる事でしょうか、この辺は手持ちのカンナと同じ感じです古い機種ですと裏金が磨耗して機能していない場合もありますが 交換すればそれなりに効いてくると思います。カンナの刃の種類としてカネフサエースでA,B,Cとありますが、これは裏金に相当する部分の違いです スパイラルのカンナ胴は高額なので中古の機械を探した方が負担が少ないかも 見つからないでしょうが。
こういった木材を大量に使う事は少ないと思うので研磨後のよく切れる刃物を使った方がトラブルが少ない感じがします、カンナのスパイラル刃物も有効ですが研磨やセットが難しいので使っている所は殆どありません。 

2009/8/18() 午後 6:11 [ koji ] 

 

 

kojiさん、コメント&詳細な説明ありがとうございました。
刃物の切れと、押さえ、同感です。もうひとつ、送り速度ですね。実はこれだけで、解決する場合がほとんどと私は思っています。

それと、書かれている内容は日本の本格的な木工機械と思われますので、一般のアマチュアを対象にした場合、アメリカあるいは日本の電動工具の類ですから、話が若干違うと思われます。 

2009/8/19() 午前 9:58 [ toshim ] 

 

 

 

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