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恐るべしDW735  2008.08.29

 

ここを訪問して下さるきすべーさんが、最近広葉樹の木作りを行っており、逆目掘れでかなり苦労されていたようですが、DeWALTの自動かんな盤DW735を用いることでほぼ目的を達成できたと言うことです。詳しくはきすべーさんの をご覧下さい。

 

イメージ 1ここで逆目掘れについて若干説明したいと思います。
手かんなの場合かんな刃と裏刃があり、この裏刃を刃先に近づけることにより、かんな刃でグサッと削り取ろうとしている方向を、裏刃で抑えて、それ以上くい 込ませまいとすることで、逆目掘れを防ぎます。一般に逆目掘れを止めるには裏刃と刃先の隙間は絹糸一本程度と言われています。右の図のaです。

絹糸は人毛より細く、人毛は75ミクロンと言われていることから、絹糸一本は50ミクロン程度と見て良さそうですが、この隙間を少なくすればするほど切削能力が落ちますので、現実にはa寸法は0.10.2mm位がベストと思います。
 
ところが、この0.1mmを自動かんな盤に適用すると、超低速ならできるかも知れませんが、普通の送り度速度では切削できない状態となるため、つまり切削 能力が極端に落ちることになり、逆に跳ね返りが発生し非常に危険でもあるので、一般には0.50.7mm位になっていると思われます。(これは私の想像 で、調べたわけではありません)
DW735
の場合、このa寸法は2mm位だそうです。
 
逆目惚れ対策としてもう一つ重要なファクターがあり、それは送り速度を下げることです。実際に 以前のエントリー 「送りモータイタ化検証」で私の自動かんな盤の送りモータにインバータを取付け、無段変速で超低速(通常の1/10700mm/min)にした時の絶大なる効果がそれを証明して います。DW735では2段切り替えとなっており、仕上げの遅い方では、179カット/インチと言う仕様です。この179カット/インチは、1インチつま り25.4mm送る時にかんな刃は179回カットつまり切削すると言う意味です。言い換えれば、25.4/179=0.142mm 送る毎に一回削ってい ると言うことでこれをピッチpと呼ぶと下の図のようになります。


このように、機械で削った切削面は決して平らではなく非常に小さな円弧で波打っています。この波は当然送り速度や、かんな胴の回転速度により決定されま す。ですからこの波をとるためには仕上げの手かんなが必要なのです。サンダーでは綺麗に平面に取ることができず、だれるだけです。

 

話が逸れましたが、このピッチを私の自動かんな盤と比較してみます。
一般にかんな胴の回転数をN(min-1(rpmのことです))、刃数をC、送り速度をV(mm/min)した時のピッチp
p = V/(N*C)(mm)
となり、実際にN=3,000min-1(推定です)、C=3V=700mm/minを代入すると
p = V/(N*C)

= 700/(3,000*3)
= 0.078mm

となり、先のDW735の場合の0.142mmと比較すると約1/2のピッチとなっていることが判ります。これは逆に言えば、私の自動かんな盤で送り速度 を1/10から2倍の1/5に上げれば、DW735と同等になると言うことで、運良くこの1/5速度での結果も、先のエントリーに載せています。結果は 「小さく2ヶ所かけていた」と有る通り、99%は逆目掘れが取れています。今回見ていないので判りませんが、きすべーさんの結果とよく似ていると想像され ます。

 

結論は「送りピッチを0.1mm以下にすれば逆目掘れは取れる」でしょう。
もう一つ付け加えるなら、「恐るべしDW735でしょうね(笑)。

 

 

−以下皆様からのコメント−

 

<(゜ロ゜;)>ノォオオオオオ!!

DW735御紹介ありがとうございます。100Vで使える、ポータブル方式の自動カンナとしては最上位の部類だとσ(_) ワタシは感じました

より上質な削りを目指し、環境の制約を受けながらも上を目指すと言う機種として選択肢に入れておくべきでしょう〜もちろんそれなりの苦労・・・そこそこ費用はかかりますが・・・

なるほど理論としては分かりますねぇ〜専門の物性加工の授業で同じようなことやってましたし・・・

裏刃を詰める詰めるというだけではいけないと言うことをすっかり忘れてました〜その切削能力に見合うだけの送り速度でないといけないのですよねぇ〜

次回σ(_) ワタシの超度級木工機械計画までポータブルとして大いに活躍してくれることでしょう〜♪

 

で、ドミノの接ぎはやっぱりすごかったです・・・ (--) ボソッ

 

ではでは、お(^o^) (^O^) (^^) みぃ(^-^)ノ゙

2008/8/30() 午前 0:26 [ きすべ〜♪ ]

 

 

自動カンナでの逆目には困りますね。

送り速度も問題ですよね。それに、刃の「切れ」は刃のメーカーによっても違うと思います。ボクは兼房の大ファンです、マルノコやルータービットと同じく、素晴らしい「切れ」だと、思います。 toshimさんはご存知だと思いますが、刃の研磨角度を ムツカシイ材の時は、その時の材料に合わせて、砥ぎ屋さんと、相談しながら、決定します。もちろん自分で砥ぐ時も 相談に乗ってもらいます。 大きな木工機械屋さんには、超ベテランの機械砥ぎ専門の職人がいますので、お世話になってます。ボクでは、機械の刃物の事は難しすぎてわからない事が多いです。

2008/8/30() 午前 1:14 [ ryuusei ]

 

きすべーさん、DW735の能力を皆に知ってもらった方が良いと思ってね。ドミノ見てきましたよ。これも使えますね。

2008/8/30() 午後 2:43 [ toshim11 ]

 

髏エさん、刃に切れ味はその通りですね。切れない刃を使っては幾ら調整が良くても、逆目は取れませんよね。

手かんななら切削角を適用材料にあわせてと言うのは判りますが、自動かんな盤も例えば針葉樹と広葉樹で刃先角度を変えて専用に作られているのですか?すごいです。

2008/8/30() 午後 2:47 [ toshim11 ]

 

toshimさん、そうです。ボクの場合は、難しい材料の時は 機械とぎの職人と相談して角度を変えます。 自動や手押しの刃は兼房を使っています。これの研磨の角度を変更します。

2008/8/31() 午前 3:19 [ ryuusei ]

 

うーん、流石プロです。私にはできないことですね。

2008/9/1() 午後 0:33 [ toshim11 ]

 

 

 

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